夏は暑いしムカつくから嫌いなんだが、いざ喪ってみるとやはり寂寥。とくに今年は芝居と仕事で目まぐるしいうちに逝ってしまった夏、夏を意識することなく過ぎてしまった今夏を想い、少し狼狽える。
夏の手応えが、ない。
いつもはそんなもの要らねえんだけど、所謂「芸の肥し」として必要だった気もする。
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『ナイゲン(全国版)』の稽古が始まっている。再々再演、だがキャストの入替もあり実質新作の意識。気付かれてないが意外と穴だらけの台本をどう治すか、という「最強の文芸助手」としての腕の見せ所もあるが、なにより「花鳥風月」というキーキャラクターをどう立ち上げるか、という珍しく俳優みたいな問題意識でいる。
だって戦友にして偉大な先輩、矢吹ジャンプa.k.a.『8マイル』のエミネムを超えなきゃならないんだ。超えること、ジャンプ版花鳥風月を忘却の彼方に封印すること、それが「継ぐもの」としての最大の奉公だろう。
そのために。
なぞるのでなく、描け。
拾うのでなく、掴め。
で、台本を開くと「クーラーない暑い教室」とか書いてあって、ああどんなんだっけな、と再び過ぎ去りし季節を追う。